中小企業庁 東京都よろず支援拠点コーディネーター
㈱ファイブ・スター 代表取締役
中小企業診断士 金綱 潤
1.そもそも“顧客様満足度とは何だろう?”
「顧客満足」という言葉は、ビジネスに関わる方ならば一度は耳にした言葉だと思います。しかしながら正確な定義はありません。何故ならば、この概念は時代共に変貌してきているからです。我が国でも89年~90年位に顧客満足に関するセミナーや関連本が空前のブームとなりました。しかしながらその後の動向をみると、考え方が変化したり、専門部署が廃止されたり、担当部門が変わったり等、各企業においても「このテーマ」に対してどのようなスタンスで取り組んでよいのか?腰が定まらない状況とも言えます。
唯一、言及できるのは「顧客満足」は商品・サービスを提供する企業側の論理ではなく、それらを受容する取引相手やユーザー(利用者)、コンシューマー(消費者)、生活者側の評価だと言うことです。
2.顧客満足度調査の大切なポイント
そもそも顧客満足度調査をする狙いについて考えてみたいと思います。例えば対外的なPRコンテンツ素材の収集や、部署・部門別、拠点別評価、お客様の更なる利用促進、口コミ派生促進等色々考えられると思います。そうです。企業自身では知り得ない価値ある知見(インテリジェンス)を獲得するために行うのが顧客満足度調査です。
しかしながら、誰もが想像できるこの点についての認識が歪曲されがちな傾向があるのも満足度調査でよくある特徴です。
3.目的と手段、結果を考えてみる
実はこの点が曖昧になっていることも悩ましい問題です。多くの企業では、「満足度」と言う言葉をキチンと定義しないまま使ってしまい、調査はしたけど、その後の改善活動につなげられない状況にしてしまっています。この原因は目的を明確にしないまま、通り一遍の調査をしていることにあります。例えば、調査目的が「利用客の利用回数を増やす」ことであれば、もう一段、掘り下げて、「利用客の利用回数をもう一回以上誘発する」と置き換え、調査設計を検討すべきです。例えば、調査対象を利用経験回数毎にサンプリングした上で、初めて利用、2回目の利用、3回目の利用・・の前後で何に影響されたのか?について調査項目を掘り下げて、ヒアリング出来るようにしておけば、自社へのメカニズムがある程度、推測することが出来、必要に応じてグループインタビューや面接調査を絡めれば利用回数を増やすアクションや利用回数を抑制してしまうメカニズムが社内で共有出来ることも期待できます。
4.皆様が検討していただきたいポイント
顧客満足の向上を企業から託された皆さんの使命は、お客様と企業の立ち位置の違いから生じるギャップや矛盾解消にあると私は考えています。そのためにここで強く認識いただきたいのは、以下の3点です。
1):経営トップの活用と協力
2):活動成果の視覚化
3):活動の日常化・ルーティン化
経営トップの活用と協力を挙げたのは、経営トップの認識如何でこの運動が強化されたり、衰退する事例が過去、多かったからです。そうは言っても経営トップは、多忙で様々な責任を担っています。協力としたのは、経営トップがCS活動の成果がひと目で分かるような資料にまとめるとか、中長期の活動計画ステージ毎に求められる重要テーマを整理する等に他なりません。
活動成果の視覚化とは、「数字で説明できて、目にみえるもの」にすることやなるべく早期に活動の成果が全社的に伝わる仕組を考えることです。
そもそも“顧客満足度”とは何なのでしょうか?実は多くの方がこのことを理解されていませんのでこの点についてご説明します。重要なテーマと認識するものの、明確な定義づけがなされていないために、企業毎に考え方の違いや取り組み姿勢に温度差が生じているのが実情です。
活動の日常化・ルーティン化とは、そもそもCS活動は、一過性のことではなく活動の定着化が図れて初めて効果を発揮していくことだということです。
ご一読有難うございます。以上