中小企業庁 東京都よろず支援拠点コーディネーター
㈱ファイブ・スター 代表取締役
中小企業診断士 金綱 潤 

昨年6月より全国47都道府県に一つずつ『よろず支援拠点』と言う小規模、中小事業者さんのご相談を無料で受けるご相談拠点制度が立ち上がりました。中小企業庁の重点政策のためか、マスコミ、関係者へのPRも活発になり、私が担当している東京都よろず支援拠点では、先月相談回数が開所後1,000件を超える段階になりました。月を追う毎に相談に来られる事業者さんの数も増えています。今回もそんな支援の現場に携わっている目線から小規模、中小企業の事業者さんから今、多くの関心が寄せられている小規模事業者持続化補助金についてコメントさせていただきます。

小規模事業者持続化補助金とは?

小規模事業者が対象の施策で経営計画に基づいて実施する販路開拓等の取り組みに対し、原則50万円を上限に補助金(補助率2/3)の予算をつけるものです。計画の作成や販路開拓の実施の際、商工会議所の指導・助言を受けられるものです。

(注1)小規模事業者とは、「製造業その他の業種に属する事業を主たる事業

として営む商工業者(会社および個人事業主)」であり、常時使用する従業員の数が20人以下(卸売業、小売業、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)に属する事業を主たる事業として営む者については5人以下)の事業者です。

本施策立案の背景

1)環境認識

 残念なことですが、我が国経済の担い手である中小企業者数はこの十年で大きく減少しました。中小企業庁の調査では2009年に420万社あった事業者数は2012年2月時点で385万社になりました。現在では360万社を割り込んでいるとされています。

 2012年2月時点での385万社の中小企業者の内、小規模事業者の比率は実に86.5%も占めています。しかも同時期の中小企業者の大企業も含む全事業者に占める社数比率は99.7%も占めています。その一方、デフレ克服、賃上げ等の動きが大企業中心に見られるものの、小規模事業者、中小企業者を取り巻く環境は採用難、高齢化、消費税転嫁難等相変わらず、厳しい状況です。現実に売上、利益共に大企業に比べて減少傾向が顕著です。

2)課題認識

1)のような環境認識を元に今までの中小企業支援施策の流れを振り返った時、補助金施策の重点が、成長意欲と技術とネットワークを持つ、地域を代表する比較的、実施体制が強固な中小企業や製造業、商店街等に置かれていました。仮説としては、それ等の事業者は、他の中小企業者に比べて、補助金を活用出来るノウハウや財務基盤があり、その影響が地域経済へ好循環をもたらす・・とみていたからです。しかしながら、現実に1)のような状況では、必ずしも「成長企業の成長支援」に拘らなくても良いのでは・・と言う声が高まってきました。寧ろ、小さな企業が各自、自社の先行きに対して、自社の問題状況や課題設定をしっかりして、着実な経営への転換を図って欲しい・・とする国の想いが込められています。

「持続的経営の支援」と言う言葉も、昨年、随分、官公庁の資料では増えてきました。

だから、従来にない発想で対象事業者や事業内容で小さな事業者さんに近づいた施策が生まれました。

3)今後に向けて

そうは言っても、小規模の事業者さんは平素、お客様への対応や商品仕入れや販売等に追われ、「経営計画」策定等について経験もない方が多いのも事実です。どちらかと言うと、事業経営よりも事業運営に多くのエネルギーを割かれ、経営に対する知識や経験を持ち合わせていない、あっても乏しい・・というのが実際です。それだけに小規模、中小企業の事業所さんには、遠慮なく、我々のような無料で何度でも相談できる支援拠点を利用いただければ・・と思います。

Face Book 

金綱-潤-東京都よろず支援拠点コーディネーター
https://www.facebook.com/pages/%E9%87%91%E7%B6%B1-%E6%BD%A4-%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E3%82%88%E3%82%8D%E3%81%9A%E6%94%AF%E6%8F%B4%E6%8B%A0%E7%82%B9%E3%82%B3%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC/760977980605085

ご一読有難うございます

以上